文章力向上トレーニングのためのブログレビュー会 #1
渡辺です。
先日、社内チャットにて文章校正の良書が話題になりました。 「新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング できるビジネスシリーズ」(以下、ナタリー本)です。 この本では、音楽系ニュースサイト"ナタリー"で、ライター向けの文章力トレーニングを解説しています。
紹介された後、Kindleで安くなっていたこともあり早速読んでみました。 「あるある」的なことから、「あーそうだよね」と無意識に行っていることまで、文章校正のコツが上手くまとまっています。 これは弊社のブログにもいい影響があると、社内でブログレビュー会を行ってみました。
レビュー会の流れ
ナタリー本を参考書に使いますが、読了済みである必要はありません。 文章レビューを行いながら、ナタリー本に「こんなことが書いてあるよ」と紹介する流れで行います。 文章校正に興味を持って貰えれば、後はナタリー本を買い、自然と文章力がアップするでしょう。
レビュー会は1時間としました。 レビュー対象者(レビュアー)は2人、それぞれ30分で対象となるブログをレビューします。 レビュー者(レビューイ)はレビュアーを含む全員としました。
今回は、初回ということで自分がメインでレビューします。 しかし、単に文章を校正するだけでは文章力は身につきません。 校正時の背景や、ナタリー本に書かれているトピックとリンクさせることで、興味を持たせる方向を意識しました。
指摘事項
今回のレビュー会で実際に行われた指摘事項を一部紹介します。
ーすることが可能です。
文章校正の基本は、文章を圧縮し、短くすることです。 それが「読みやすさ」につながり、完読しやすい文章となります。
完読とは文字どおり、文章、つまりブログを最後まで読んで貰えることです。 記事によって、単純に記事が長いわけでもないのに、読みにくいエントリーは存在します。 そんな文章には「読みにくい」理由があります。 理由は様々ですが、ほとんどの場合、回りくどい表現や冗長な文章であることが原因です。
エンジニアが使いがち表現が「ーすることが可能です」といった言い回しです。 これは「ーできます」にすることでスッキリします。 「することが可能です」は、「be able to」を直訳したイメージとナタリー本にも書かれていました。
助詞を減らす
「の」「が」「で」といった助詞が続くと、読みにくくなります。 特に技術ブログでは、名詞と名詞を助詞で多くつなげがちです。 例えば、「リソースを自動で検出する」といった表現です。
助詞は削除しても意味が通じる場合、省略できます。 例えば、「リソースを自動検出する」と書き換えます。 名詞と名詞を組み合わせて複合語にするテクニックを使えると、「の」が連続する時の回避方法として有効です。 前後のバランスに問題無ければ、「自動リソース検出」のように一単語化もできるでしょう。 しかし、助詞は文節の区切りとしても作用するので、やりすぎは禁物です。 バランス良く複合語化を使い、助詞を減らしましょう。
「こと」の連発
以下の文章には、「こと」が2回使われています。
Deep Securityでは、AWSアカウントと連携することで管理対象のリソースを自動で検出することが可能です。
これもエンジニアがよく書いてしまうフレーズです。 「こと」が多すぎるとテンポも悪くなり、冗長な感じが否めません。 ほとんどの場合、「こと」を消しても意味が通じます。
Deep Securityでは、AWSアカウントと連携し、管理対象リソースを自動検出できます。
バランス良くなったのではないでしょうか? 文字数も減るため、文章全体が圧縮されてスマートになります。
文を分割する
ブログ執筆時は、考えている内容を落とし込みながら文章を書きます。 この時、どうしても文章が長くなる傾向があります。 1文1文は短く、明確にすることで、読みやすい文章となります。 読み手に読み直しを強制させたり、考えさせたりしない文章構成が大切です。
この記事はこれからiOSでクリーンアーキテクチャを「やろうかな?」「そもそもどんなものなのかな?」といった人に向けたものです。
この文章では、「といった人」がどこに係っているのか、「もの」とは何なのかが不明瞭です。 読者が少し考えれば理解できます。 しかし、読者に考えさせずに一気に読める文章を目指しましょう。
この記事は、iOSでクリーンアーキテクチャに興味がある人が対象です。「やろうかな?」「そもそもどんなものかな?」と考えている人は参考にしてください。
1文を2文に分割することで、各文の言いたいことがシンプルになりました。
まとめ
今回は初回ということで、手探りしながらレビュー会をやってみました。
文章力を向上するには、読みやすくすることが大切です。 細かい文章校正の積み重ねが読みやすさを支えます。 プログラミングでのリファクタリングに通じるテクニックかもしれません。
興味があればナタリー本も手にとってみてください。